第2話「仏面獣心」
※規約に関しましては「にぼしの声劇台本」利用規約ページをお読みください。台本の最後に添付してあります。
菜山ヒロキ(エルド二等兵)
♂ 16歳。(動物年齢3歳)
動物を好く心優しき青年。
異世界突入後は黒犬のエルド二等兵になる。
後藤アヤハ(チェルシー中尉)
♀ 19歳。(動物年齢4歳)
黒髪姫ロングが特徴の女性。
異世界突入後は黒猫のチェルシー中尉になる。
ヴィゼル元帥
♂ 動物年齢9歳。
あらゆることを達観するホワイトタイガー。
とある理由から花を嫌っている。
シュタイン少尉
♂ 動物年齢14歳。
神父になりたがった心優しきホルスタイン。
人間全員が悪いわけではないと考えている。
おじさん。
ポチ二等兵(二等兵のポチ)
♂ 動物年齢2歳。レジスタンスの新米兵。
本作では「二等兵のポチ」として登場。
雰囲気がチャラく、「っス」が口癖である。
真柳コト(キャロライナ中将)
♀ 16歳。(動物年齢3歳)
ヒロキの幼なじみであり、アヤハとはゲーセン友達である女の子。異世界突入後は茶色い毛並みを持つ小熊のキャロライナ中将になる。ポチは彼女の部下。
ヒロキ(エルド二等兵):
アヤハ(チェルシー中尉):
シュタイン少尉:
ヴィゼル元帥:
ポチ二等兵:
コト(キャロライナ中将):
※途中でひとセリフだけ、謎の人物が出てきます。ヴィゼルの兼役ですが、この人物は後に重要なキャラになるため、しっかりと演じ分けてください。
エルドM:あれから、俺はヴィゼル元帥閣下にチェルシーの話を上手く捏造し、説明した。納得してくれたみたいであるけど、今後の人間狩りが少し不安である。はーあ、次の人間狩りまで暇だな…。チェルシー…後藤アヤハさん。なんだか優しそうな人だったな。仲間がいるってだけでこんなにも嬉しくなるものなんだな。
(シュタイン、エルドの部屋の扉を叩く。)
シュタイン:あ、あの…今って時間あったりしないかな?良かったら、お話しない?チェルシー准将さんとお話して疲れてるとこ悪いんだけど…。
エルドM:聞き慣れない声が扉の向こう側から聞こえてくる。どうしたのだろうか?…タメで話してくるということは…俺の上司なんだろうな。
エルド:はっ!大丈夫です!自分のことはお構いなく!…ご対談でしたら、喜んでお受け致します。人間狩りまで、少しお時間ありますし…。
シュタイン:じゃあ、お邪魔させてもらうね。よいしょっと。ごめんね、ドア開けるのにも声出しちゃって。もう…歳だよね。齢(よわい)14にもなったら肩の疲れとか出てきちゃって…。
エルド:…心中お察しします!あ、こちらの席にお座り下さい。扉は自分が閉めますね!
エルドM:それは…大きかった。とにかく大きい。角の形や体格の良さから、牛であることは確認できた。ここまで大きいと少し緊張するな。
シュタイン:僕の名前、言ってくれなかった…。僕って嫌われてるのかな…ごめんね。…もう一度言うけど、僕はシュタイン少尉。エルドくんより立場が上だけど…僕の場合には全然かしこまらなくていいんだからね。どんなことでも、お話して?…隠し事は、いけないことなんだからさ。
エルドM:…待ってくれ!俺が名前を言わなかったことにサラッと気づいている!…いや、気づいて当然だよな。…シルフィ准将とはうって変わって優しそうな動物だ。…でも、なんだろう。この胸のもやもやは。…しかも、俺が隠しごとしてるってことには、確実に気づいている!?
エルド:い、いえ!滅相もございません!…自分の不敬の致すところであります故、深くお詫び申しあげます!御無礼を、お許しくださいませ!
シュタイン:いやいや…僕ってさぁ、嫌われてるから。皆、僕と関わろうとしないんだよ。僕は皆のことを"気にしている"だけなのにさ。
(シュタイン、優しそうだが怪しい目付きでエルドを見つめる。エルド、背筋が凍る。)
エルドM:なんだ、あの目つきは。ニコニコしているのに、恐ろしい。そもそも、牛って草食だろ!?どうやったらあんな肉食動物のような目付きが出来るんだよ!?おっそろしい!!
シュタイン:…どうしたの?僕から目をそらさないで。僕、とても悲しいよ。僕はキミと"お話"したいだけなのに…。…疲れてるの、すごく分かるから。ねぇ、隠し事あるなら、吐いていいんだよ。僕は何をも受け入れるつもりでいるから。
エルドM:何をも…受け入れる…?そう聞いたら、シュタイン少尉を見る目が変わった。さっきまでの怪しい目付きはどこかへ行き、優しいにこやかな目付きになっていた。
(シュタイン、昔語りをする。)
シュタイン:僕はね、本当は神父さんになりたかったんだ。皆に博愛を持って、どんな動物、人間であっても愛するつもりでいた。【アニマの悲劇】が起こっても、僕の気持ちは変わらない。僕は僕らしく、皆を愛してるからね。…レジスタンスさんとも、和解できると信じているから。
エルドM:ニコニコと笑いながら、過去のことを語るシュタインさん。なんだか、この動物になら秘密を打ち明けてもいいのではないかと思った。神父さんになりたがった、優しそうな動物なら。
エルド:あ、あの!じ、実は…ございます!打ち明けてないこと、でも、シュタイン少尉殿になら!言える気がしましたので、告白致します!
シュタイン:ふふっ、そう。素直なのが1番なんだよ。(ここのみ小声で)…狡猾な人間さんはね。
エルド:な、なにか、おっしゃいましたか!?
シュタイン:いや、何でもないよ。言って。言った方がスッキリするでしょ?僕ね、歳だけど記憶力は衰えてないからさ。教えてよ?
エルド:…えっと、自分は、この世界のモノではございません!
シュタイン:…んん?と、言うと?
エルド:…別の世界からやってきた、元人間なんです。側溝に…って言ってもわからないと思うのですが…溝にハマったネコを助けようとして、その溝におち、気づいたらエルド二等兵になっていたわけであります!…本名は、菜山ヒロキです。
シュタイン:…へぇ、面白い嘘だね。僕らが生きているのはこの世界で、別の世界からやってきた、なんて、子供じゃないんだから…あ、君は子供だったね。ごめんごめん。
エルドM:…さすがに、別世界から来たとは信じてくれないか…。あと、後半はグサッときた。
シュタイン:よしっ、ありがとう。君の顔見たら、スッキリした顔になってるから、帰るね。僕、君と話が出来て良かった。じゃあねお疲れ。
エルド:はっ!自分もシュタイン少尉殿がいて下さって、今後もお悩み相談が出来そうです!今回はお話を聞いて下さり、感謝しております!ありがとうございました!アニマ公国に栄光あれ!
(シュタイン、エルドの部屋を出る。)
(エルド、少し考える。)
エルドM:はー、なんかスッキリしたな…動物にも、理解者っているもんなんだな。神父さんになりたいって言うシュタインさんみたいな、中立的な存在が、もっとたくさんいたらいいのにな。
(シュタイン、にやけがとまらず歓喜する。)
シュタインM:やった!やったやったやったっ!はぁ…!!ここまで上手くいくとバカ笑いしそうになるけど…我慢我慢!!…エルドくん、ってホントーにおろかでおマヌケさんなんだね!普通なら、最初の目付きで皆は僕が何考えてるか分かるから、察して関わろうとしないんだよ!彼だって感じてるはずでしょう?…なんでかな!?なんで分からなかったのかな!ハハハハッ、ハハハハハッ!…口元が歪んじゃいそう!!ヴィゼル元帥閣下に報告しないと…!エルドくんが人間発言をしたって報告すれば…確実に僕の地位はあがるでしょ?フフフッ、だめだめ。このレコーダーをヴィゼル元帥閣下に渡すまでは…耐えないとね!
(チェルシー、通りすがりにシュタインに会う。)
チェルシー:シュタイン少尉殿!お勤めご苦労さまであります!アニマ公国に栄光あれ!
シュタインM:…あ、エルドくんと話してたチェルシーさんだ。…チェルシーさんも、怪しいんだよね。でも、弱ったなぁ。チェルシーさん、感情が読めないんだよ…。今回はパスしよっと。
シュタイン:ごめん!お気遣いありがとう!今、急いでるから!また今度、お話しようねっ!
チェルシーM:何アイツ…さっきまで歩いてた癖に。あのトロそうな牛。感じ悪すぎるんだけど。
(シュタイン、ヴィゼルの部屋の扉を叩く。)
シュタイン:ヴィゼル元帥閣下!至急、お話したいことがございます!入ってもよろしいでしょうか!
ヴィゼル:…入れ。
シュタイン:…失礼致します、元帥閣下!
(シュタイン、ヴィゼルの部屋へ入る。)
ヴィゼル:…で、至急の要件とはなんだ?
シュタイン:あ、あの!エルドくん…じゃない、エルド二等兵の件ですが!…エルド二等兵は、自分が元人間であると、発言しております!
ヴィゼル:何!?それは本当なのか、シュタイン!?
シュタイン:はい!ちゃんと証拠もございましてですね…。このレコーダーに全て録音されてあります…。今、お聴かせしますね。ここら辺かな。
(シュタイン、エルドの告白シーンまで飛ばす。)
(いざ流すも、ノイズが酷く聞き取れない。)
シュタインM:なんで!?…このガラクタめっ!
言うこと聞いてよ!?なんで?なんで?!
(シュタイン、告白シーンより少し前に飛ばしてみる。ここは何故か聞き取れるが、告白シーンに入ると、やはりノイズが酷くなり聞き取れない。)
ヴィゼル:…シュタイン少尉、馬鹿にしているのか。これでは貴様の捏造にしか見えないぞ。
シュタイン:ち、違います!!ちゃんと、録音ボタンも付けたし、録音できているはずなのです!?…なんで!この!…どうしてこうなの!?
ヴィゼル:…シュタイン少尉。疲れているのだ。仲間を告発するなど、貴様が1番しなさそうなことではないか。…部屋にて謹慎せよ。次の人間狩りには参加するな。その状態で出られても困る。
シュタイン:…かしこ、まりました…。アニマ公国に…栄光あれ…。…失礼致しました。
(シュタイン、部屋を出る。ヴィゼル、考える。)
ヴィゼルM:シュタイン少尉…。私は貴様が何を考えているのかがわからない。仲間を不十分な証拠で告発しようとするなど。…シュタイン少尉の過去は、彼が話そうとしないのだ。ヤツは神父になりたいと言っていたが…それは本当なのか?
(チェルシー、エルドの部屋の扉を叩く。)
チェルシー:エルド二等兵、いるかしら?いるなら、返事をしなさいな。
エルド:はっ!チェルシー中尉、自分、エルド二等兵は滞在しております!どうぞお入りくださいませ!
チェルシー:入るわよー。
(チェルシー、エルドの部屋に入る。)
チェルシー:…私、仕置で少尉に降格したから。これからはチェルシー少尉って呼んで。それで、ヒロキくんの部屋の方からシュタイン少尉が歩いてきたんだけど、彼と何かあったの?私が声掛けたら急に走って私の元を去るし…。
エルド:…シュタインさん、いい動物だよ。昔、神父さんになりたかったって。動物も人間も関係なく愛せたら…レジスタンスとも和解出来たらって。だから、シュタインさんにならいいかなって思って。俺が元人間であることを告白した。
チェルシー:は?馬鹿じゃないのアンタ!アンタなんかがシュタイン少尉の心中を理解出来るわけないでしょ!そんな上辺だけの発言を信じて、アンタ!告白したわけ!?(""のところだけ小声で)"元人間だってこと"。ふざけんじゃないわよ、アンタの失言でアンタに求刑が下されるかもしれないのよ!心配させないで!
(チェルシー、エルドをビンタする。)
エルド:イテテ…結構酷くやったな。
チェルシー:当然でしょ!上辺が優しそうなシュタイン少尉でも、裏では何考えてるかアンタに分かりなんてしないんだから…。(小声で)もし、それを人間嫌いのヴィゼル元帥閣下に報告されたら?少なくともエルド、アンタは終わりなのよ!
エルド:…最初は、俺も怖いなこの動物って思った。けど、話してくうちになんだか優しい動物に見えてきて…なんでも受け入れてくれるって言うから。
チェルシー:はぁーあ。…ヴィゼル元帥閣下に上手く捏造を信じ込ませたのに…意味ないじゃない。これからどうすんのアンタ。時間ないわよ。
エルド:もしかして、俺、詐欺に合うタイプ?
チェルシー:間違いなく合うタイプね。警戒心皆無なんだもの。完全に心を掌握されてるわよ。
エルド:…俺、どうしよう。死ぬのかな、俺。
チェルシー:遺言でも書いとけば?…せっかく、アンタっていう仲間を見つけたと思ったら、馬鹿やらかしたせいでまた一人ぼっちよ。最悪。
エルド:ごめん、俺が馬鹿なばっかりで。
エルドM:どんなに心優しくても、内面まではわからない。予想することしか出来ないんだ。それは人間だって同じなのに。なんで、動物は違うなんて思ったんだろ。…俺、やっぱり人間だな。
チェルシー:…アンタ、今まで人に騙されたことがないのね。だから、そういうことをやらかすのよ。…まぁ、そんな人生もある意味平和でいいのかもしれないけどね。アタシより遥かに平和。
エルド:なんか言ったか?
チェルシー:なんでもない。こういう大事な話は聞かない馬鹿だもの。…ほんと、アンタって主人公なのよね。鈍感、馬鹿、特にいい才能も持たない凡人。3つも揃ってるじゃない。
エルド:…なんか、言われて嬉しくはないな。
チェルシー:…ワンチャン、アンタ死なないかもって思ったの。主人公は序盤でくたばったりなんかしないんだから。…だって、そう考えてないと。不安で…泣きそうになるんだから…。
(チェルシー、涙ぐむ。エルド、背中をさする。)
エルド:…この世界で初めて会ったのに、俺の事心配してくれるんだな。こんな俺なんか、見捨てておけばいいのにさ。それは、俺が同じ元人間だからか?
チェルシー:違う、ヒロキくんがここで死んだらコトに合わせる顔がなくなるってこと!勘違いしないでよ…。一人ぼっちになるのがやで、こんなに泣いてるわけじゃないんだから!…アンタなんか見捨てようと思えば見捨てられるわよ!!
エルド:そういうことにしておくよ。アヤハさん、俺の事気にかけてくれてありがとう。
エルドM:こんな俺でも気にかけてくれる人がいる。仲間は大事にしなきゃな。でないと、仲間に泣かされることになるかもしれないからな。
(外から銃声と大砲の音。基地がグラグラ揺れる。)
エルド:この音は!…レジスタンスの奇襲か!?
チェルシー:それしか考えられないわね!行きましょ!…大丈夫。二丁拳銃はストックしてある。
エルド:準備万全じゃないか、よぉし。俺もショットガンを持ってっと…。シルフィ准将閣下からの放送音声が直(じき)に流れるはずだ。行こう!
エルドM:アヤハさんを心配させては行けない。俺はもっと警戒心を持たなきゃならない。ましてや異世界だ。常に警戒心、そんでもって適度な緊張を。たとえ、アニマ公国の軍人であっても、自分たちが元人間であることは隠さなきゃいけない。…俺は決意を新たに、自室を出たのだ。
チェルシーM:…本当に馬鹿なヤツ。私にはボロボロと喋っちゃうんだから。私が善人だから良かったけど、これから元人間でも、ヒロキくんとかを騙す、って悪いやつはいるかもしれないのよ?だから、ヒロキくん。…自分を簡単に危険に晒したりしないでね?…コトに、迷惑かかるから。
(アニマ公国軍、外に出る。レジスタンスが基地周囲を囲んでいる。)
チェルシー:この人数…じゃない。頭数は半端じゃないわよ。これでもレジスタンスの3分の1くらいしかいないって聞いたのだけど…まずくない?
エルド:かなりまずいな…。戦闘経験のない俺たちが、この頭数に勝てるかどうか。とりあえず、ヴィゼル元帥閣下は近くにいるみたいだし、合流して大人数戦闘に備えた方が良さそうだ。
(2人、ヴィゼル元帥閣下率いる軍に合流。)
ヴィゼル:無事だったか。エルド二等兵、チェルシー少尉。…そういえば、シュタイン少尉がエルド二等兵のことを告発しようとしたみたいだ。…証拠不十分であったから、アイツには自室謹慎を命じた。この戦闘にも、人間狩りにもしばらく出られない。…シュタイン少尉、彼は一体何がしたかったのだろうか。私には理解出来ん。
チェルシー:(小声で)だから言ったじゃない!シュタイン少尉はアンタを売ろうとしてたのよ!
エルド:(小声で)マジか…。シュタイン少尉、すごく優しそうだと思ってたのに。
ヴィゼル:心配するな。シュタイン少尉には、これから警戒体制を高めておけ。エルド二等兵、シュタイン少尉が貴君をどのようにしようとしているのかが分からないからな。…さぁ!行くぞ!
(ヴィゼル、馬の軍人の背中に乗り、先を急ぐ。)
チェルシー:ああいう軍人もいるのね。…私達も先を急ぎましょう!
エルド:ああ!ここで死んでたまるかってんだ!
(キャロライナ中将、ポチと共に、進軍してくるアニマ公国軍を近くの頂から眺める。)
キャロライナ:あ!ポチ!あれってさ…例の、アタシと同じ元人間の動物さん!?
ポチ:報告の通りではそうっスね〜。にしても、元人間とかほざいてる動物っているもんなんスね。中将閣下は、やっぱり同じような境遇のあの黒犬クンに興味がおありで?
キャロライナ:興味があるってーいうかー、まぁ、なんか繋がりありそうなんだよねーっていう感じ。まぁ、そのほざいてる動物がアタシだからってのもあるけどー?ポチ、最前線に頭(かしら)がいらっしゃるから、挨拶しに行こ?
ポチ:あの黒犬クンもいるみたいっスね…。勧誘は難しいかもっスけど、動揺は誘えるはずっス。
(キャロライナ、ポチを連れ最前線へ。)
(ヴィゼルたち、レジスタンスと戦闘中。)
ヴィゼル:はぁっ!…人間に、飼い慣らされた、家畜め!動物の、誇りを、捨てたヤツらめ!
(ヴィゼル、応戦しながらレジスタンスへ暴言を吐く。)
エルド:やああ!!…動物の名誉のために死ね!…彼らは家畜彼らは家畜…!!うりゃああ!
チェルシー:さすがに人間同様に動く動物を狩るのは…元人間として悔やまれないわね…!!
(お互いに、苦悩しながらレジスタンスへ発砲する。そこへ、奥の方から声が聞こえてくる。)
キャロライナ:やーっほ!レジスタンス討伐頑張ってるみたいだねー!はははっ!
ポチ:…黒犬クン、お久しぶりっス♪
エルド:ポチ!…と、そこの熊は…?
チェルシー:エルド…犬の方は知ってそうね。会ったことあるの?
エルド:あの小物っぽいのがポチ。レジスタンスの下っ端だ。でも、そこの小熊!おまえはいったい何者なんだ!
ヴィゼル:…レジスタンスの名前などなぜ覚える必要があるのか?レジスタンスであれば倒せば良い。それだけだろ?
キャロライナ:名前は覚えてもらわなきゃ困るよー?それに!…『隷属の黒獅子』様がこの基地の西の方を攻めてるっぽいよー?向かった方がいいんじゃない?
ポチ:黒獅子様は怖いっスよー?それに、ヴィーちゃん、彼に因縁あるんじゃなかったっスか?
ヴィゼル:ヴィーちゃん、だと…?確実に舐められているな…。とにかく、確実に私が邪魔だと言いたいらしいな…!!
(ヴィゼル、キャロライナたちに剣を振るおうとする。しかし、俊足の速さで現れた何か、ヴィゼルの剣を剣で受け止める。)
???〔ヴィゼル役兼任〕:…来い。同士よ、弱者を斬り捨てて何が面白いのか。やはり、自由など動物に必要ないのだ。
ヴィゼル:お前は…!!くっ…!!エルド二等兵、チェルシー少尉の命令の元、二名と応戦せよ!
(ヴィゼル、???と共に最前線を去る。)
エルド、チェルシー:はっ!アニマ公国に栄光あれ!
キャロライナ:やーっと腹を割って話せるね?じゃあ、アタシのこと教えるね。アタシはキャロライナ。レジスタンスの中将してるの。で、2人に聞きたいんだけど、この名前覚えてる?「真柳コト」。
エルド、チェルシー:…!!
(2人、驚愕し硬直する。)
キャロライナ:あっははは!分かった!その反応…ヒロキとアヤハさんでしょ?まさか、そっち側にいってたとはねー!
ポチ:え!この黒犬クンと黒猫ちゃん、中将閣下の知り合いだったんスか!?…あと、スルーしようとしたけど、黒犬クン!小物っぽいって簡単に言わないで欲しいっスよ!!
キャロライナ:あ、私が元人間だって知ってるのレジスタンスではアンタだけだから。他の奴らに喋ったら殺すよ?
ポチ:ひえええ…。
エルド:…ってことは、君が…。
チェルシー:真柳コト…?
エルド:だったら、俺たちのところに来てくれ!チェルシー:あたし達、コトを敵に回したくないの!
キャロライナ:…嫌に決まってんじゃん。ってか、なんでアンタたち、人間のくせにソッチにいるわけ?…考えらんない、偽善を振りかざすクズ。…はぁーあ、興ざめだよ。帰ろ、ポチ。
ポチ:うーい、あ、黒犬クン黒猫ちゃん。これからも、俺の事よろしくっス〜♪ハッハッ←(犬らしく呼吸する。)
エルド:…え?どういうことだよ…。
チェルシー:アタシ達のこと、偽善振りかざすクズって言った…。コトが…なんで…?どうして!
(キャロライナ、ひとりでブツブツ言い始める。)
キャロライナ:あーあ、元人間なら、人間が何してきたかなんて分かってるでしょ。ましてや自分が動物になったら、人間にどうするべきか分かってるでしょ?…だいたい、動物ごときが人間に逆らうなんてありえない、動物を家畜としてしか見ていなかった人間がなんでどうして動物に自由をとかふざけてる馬鹿じゃないの。動物になっちゃったから仕方なく人間に従順してるそれがアタシの今生きてる人生だからそれがどうして
ポチ:むぁ〜、中将閣下、怖いっスよ…。というか、俺、中将閣下の腰巾着になってるから待遇いいだけで、レジスタンスからしたら価値ないんスよね…。でも、あの黒猫ちゃんも人間か…♪人間を狩るのは、ポリシーに反するっスけど、今は動物だから大丈夫っスよね〜。…中将閣下にお願いしとくっスかね。俺があの二人を殺せたら、俺が強者としてコイツらを食べていいっスかって…?…はぁ、楽しみがまたひとつ増えたってことっスね♪
ポチ:次回予告っスよ!中将閣下!
キャロライナ:面白かったなー!あの二人の反応!見てよ!…でも、人間であるくせにこっち側に来いとかマジふざけてるはぁーあ胸くそ悪(略
ポチ:ああ、また暴走してるから俺がしめないと!次回、「吠影吠声(はいえいはいせい)」!
真の自由は、縛られてこそ感じるもの…♪っス!