第3話「吠影吠声」
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菜山ヒロキ(エルド二等兵)
♂ 16歳。(動物年齢3歳)
動物を好く心優しき青年。
異世界突入後は黒犬のエルド二等兵になる。
後藤アヤハ(チェルシー少尉)
♀ 19歳。(動物年齢4歳)
黒髪姫ロングが特徴の女性。
異世界突入後は黒猫のチェルシー少尉になる。
メアリー軍曹
♀ 動物年齢6歳。
下手に回るのが得意な清楚系アリクイ。
噂によりレジスタンスのスパイとして疑われる。
ヤハム大佐
♂ 動物年齢9歳。
計算高き策士。語尾に「〜です」をつけるヘビ。メアリーをスパイだと思わない人物。
シュタイン少尉
♂ 動物年齢14歳。
神父になりたがった心優しき?ホルスタイン。
人間全員が悪いわけではないと考えている。
何考えてるかわからないおじさん。
シルフィ准将
♀ 動物年齢13歳。
細かいことにうるさいウサギ。
とにかくグチグチうるさいおばはん。
ヒロキ(エルド二等兵):
アヤハ(チェルシー少尉):
メアリー軍曹:
ヤハム大佐:
シュタイン少尉:
シルフィ准将:
エルドM:俺たちは、レジスタンスに襲撃された。そこで真柳コトこと、キャロライナ中将とポチに出会った。コトは俺たちの大事な仲間だから俺たちに協力してくれと頼んだが、彼女は断った。それどころか、俺たちを哀れんだ目で見てくる。どうして、俺たちが偽善者だと思われなければならないのか。
シルフィ:…レジスタンスのメンバーを一人も拘束出来なかったか。情報を吐き出させるチャンスだったのに。
ヤハム:…彼らはなかなかにいやらしい方々です。そのことは准将閣下もご存知のはずですね?
シルフィ:そうだが…今回の件で厄介なことが起きてしまった。逆にチャンス、とも言えるか…。
ヤハム:厄介なこと=チャンスとは一体何です?
シルフィ:…今回のレジスタンス奇襲に紛れて、レジスタンスのスパイが潜入に成功してしまった、と。偵察部隊が情報提供してくれたようだ。
ヤハム:…スパイ、ですか。准将閣下なら、自分の管理する部隊のメンバーくらい知っていて当然なのではないですか?…知らない奴がいれば、ソイツがスパイ確定なのは間違いないです。
シルフィ:いや、私の部隊じゃない。…マチソンのとこの部隊にいるらしいが…この情報は確かではない。…ヤハム。エルド達の調査をしろ。スパイの仲間である可能性がある。…入念にな。
ヤハム:まさか…准将閣下、自分の部隊に敵がいるとおありです?
シルフィ:…こんな簡単にスパイが入れたんだ。長年潜入しているスパイもいるだろう。私はマチソンに話を聞くことにする。…検討を祈るぞ。
ヤハム:はっ!…准将閣下。
ヤハムM:…シルフィ准将は、自分の部隊を何よりも信じているはずですが?…何かおかしいです。…最近やたらとエルドさんたちのお話をしますです。…聞いてみるとしましょうか、彼らに。
(ヤハム、エルドの部屋の戸を叩く。)
ヤハム:エルドさーん、いらっしゃいますです?…いないようです。後でお話を聞くです。
エルド:なんか…ここの食事って美味しくないですよね、少尉殿が口にしていいものでしょうか?
チェルシー:いいのよ。少尉なんて大した位じゃないんだから。…レストランじゃないんだし、期待するだけ無駄よ。…ん?あっちが騒がしいわ。
モブA(シュタイン兼任):手を上げろ!このスパイめ!
モブB(シルフィ兼任):貴様!今までこの隊にいなかったな!レジスタンスのスパイか!
メアリー:ま、待ってくださいよぉ。どうしてそうなるんですかぁ。
(モブ隊員に囲まれるメアリー。)
エルド:…なんか、見たことない人ですね。なにかしたんでしょうか?
チェルシー:…本人に自覚はないみたい。可哀想だから、話だけでも聞いていきましょうか。
エルドM:困っているならほっとけない。ましてや冤罪なら軍人の恥。自分の隊に泥は塗りたくは無いものだ。心配になった俺たちは、軍人に声をかけてみる。
エルド:し!失礼します!自分は、エルド二等兵であります!…無礼を申すこと承知の上でお尋ね致しますが、彼女がなにかなされたのでしょうか?
モブA:二等兵風情が!貴様には関係ないことだ!失せろ!
チェルシー:…なら、この私、チェルシー少尉ではお聞き願えないでしょうか?…ここ数日で罰を受けた身ではございますが、そこの二等兵よりは信頼できるとお見受け致します。
モブB:どうする?
モブA:たかが少尉だ。コイツに話すわけにも行かん…。
エルドM:俺達には何も話す気は無いらしい。俺たちが肩をすぼめ、諦めかけようとしたとき。
ヤハム:…君たち、メアリーくんに何をしているです。拘束を解くのです。でなければ、君たちの処罰がどうなるか…お分かりです?
エルドM:偶然というかなんというか、蛇の軍人が通りすがりで声をかけた。モノクルをつけており、知性的な雰囲気を漂わせている。
モブA:ヤ、ヤハム大佐殿…。…ここは引きましょう!
モブB:彼を敵にするとろくなことが起きない!
エルドM:よくある感じで、隊員たちは逃げていく。俺たちは、当の本人から話を聞き出すことができるようになったのだ。
メアリー:ヤハム大佐殿!…こ、この度はぁッ!ありがとうございますぅッ!えっとぉ、私、この隊に来るのは、は、ははっ、はじめてでぇッ!
ヤハム:落ち着いて話すです。…スパイ騒ぎが私のところまで流れてきたです。…えっと、君たちがエルドさんとチェルシーさんです?…どうもどうも。シルフィ准将閣下のお膝元?というべきです?…ヤハム大佐、と申しますです。
エルドM:…名乗られた時、ぞっとした。この動物も、俺が自分と出会うのが初めましてであるかのような態度だったからだ。今度は騙されない。シュタインさんみたいに、見かけで信じない。
チェルシー:…チェルシー少尉であります。そちらの方は…すみません、当人を目の前にして名前を思い出せず…。無礼をお許しください。
メアリー:いいですよぉ、私も来たばかりなんでこれから名前覚えてきましょぉ。ね?あ、自分はぁ、メアリー軍曹と申しますぅ。あ、チェルシー少尉殿は格上のお方でしたねぇ。すみません〜、自分この空気にまだ慣れてないんですよぉ。
チェルシー:…あ、ああ、よろしくお願いします。メアリー軍曹。
エルドM:独特な、こう、鼻に突っかかるような喋り方。…この人が異動になったのも分かる気がする。アヤハさん、こういう性格嫌いそう。
ヤハム:では、教えてくださいますです?…事の真相、全ての始まりを。
メアリー:それがですねぇ、レジスタンスのスパイの件ですがぁ、私がその一人だと思われてるみたいなんですよぉ。…わたしぃ、このとおり見かけない顔ですしぃ。…ここに異動だって言ったの、マチソン准将閣下なんですよぉ。
ヤハム:…マチソン准将閣下です?…なるほどです。…実は、シルフィ准将閣下が、マチソン准将閣下の部隊にスパイがいるとお話していたです。だからこそ、怪しまれるのは当然かもです。
エルド:…ヤハム大佐殿は、容易に情報を語る御方なんですね。
ヤハム:…状況を理解出来ていない方にお話しても問題ないことは、ちゃんと承知しているです。で、メアリーさんは、覚え、ないです?
メアリー:はいぃ。マチソン准将閣下の隊にスパイがいる話は私も知ってたんですけどぉ、まさか疑われるとは思ってなかったのでぇ。エルドさん、チェルシー少尉殿、声をかけてくれて私は嬉しかったですよぉ。
チェルシー:まぁ、なんか困ってそうだったから助けようとしただけだけどね。…メアリーさん、アリバイを証明するために、情報収集をしませんか?…私も、エルド二等兵も参加するので。
エルド:…まぁ、またメアリーさんが囲まれたら危ないですからね。ヤハム大佐殿がまた来るとは限りませんから。…情報を手に入れて、シルフィ准将閣下に報告した方が良いかと。マチソン准将閣下の部隊の方からもお話を聞いた方がいいかもしれません!…ヤハム大佐殿、ご協力願えますでしょうか!
ヤハム:…承りましたです。メアリーさんは私も信頼できる方だと信じていますです。ただ、シルフィ准将閣下の動向が不安です。…はっきりしないのです、彼女が何を考えているのか。報告は、ヴィゼル元帥閣下にした方が良いです。シルフィ准将閣下に知らせてはなりません。
エルド:…シルフィ准将閣下が?いや、確かにあの人は厳しいですけど…そのようなことは…。
ヤハム:実は、シルフィ准将閣下が…みう
シュタイン:やぁ!エルドくん!お昼休みもうすぐ終わっちゃうよ!
エルド:…!!!
チェルシー:…!!!
エルドM:声に聞き覚えがある。アイツの声だ。シュタイン少尉だ。…その笑みに隠された性を、俺は知ってしまった。…食堂は静まり返り、時計の針の音が等しく鳴り続けるだけだった。